Conceptis「最も難しい加算パズル」を解いてみた(1)
Conceptis「最も難しい加算パズル」を解いてみた(2)
Conceptis「最も難しい加算パズル」を解いてみた(3)
Conceptis「最も難しい加算パズル」を解いてみた(4)
今回で最終回です。
(9)
中央部分で【アンチペア】発生。
Aの候補は(6,7,8)ですが、7or8だとすると(A,B)=(7,8)のペアになります。タテ和により(C,D)=(1,2)。Cに入る数字がなくなってしまうので不可です。
【アンチペア】【アンチトリプル】の手筋は【ペア】【トリプル】と裏表で、同時に探すことができます。慣れてしまえば、さほど見つけにくい手筋ではありません。
右中央へ。
まずはわかりやすいところで、E=6,F=3
【存在証明】の考え方によりヨコ列の7マス41、6マス37、7マス40には9,8,7,6が含まれますが、この段階まで来れば、これらの数字の入るタテ列がかなり限られることが分かると思います。
一気に埋めてしまいましょう。
念のため途中経過を。
(10)
いよいよ左中央部分に入ります。
ここで最後の大仕掛けが発生しますが、その前にもう少しだけ準備。
ヨコ6マス25について考えると、【存在証明】により、1,2が必ず入ります(1+34567=26)。タテ列を見ながら2の入る場所を探していくと、A=2。それにより、B=3
さらにヨコ4マス13には1が必ず入るので、C=1。
そしてEに入る数字の制限から、D=5or6
これで準備完了です。
上級手筋【和の手筋】を使います。
左中央部分を赤と青の四角で囲ってみました。
赤は、いくつかのヨコの和。
青は、いくつかのタテの和。
これらの重なり方によって、次の式が成立します
赤と青の共通部分の数字全ての和
= 赤い四角内の数字全ての和 - X
= 青い四角内の数字全ての和 - 5 - 6 - Y
計算してみましょう
赤い四角 - X
= 6 + 27 + 31 + 21 + 42 + 16 + 21 + 13 - X
= 177 - X
青い四角 - 5 - 6 - Y
= 22 + 37 + 17 + 42 + 21 + 35 + 15 - 5 - 6 - Y
= 178 - Y
177 - X = 178 - Y
ここで X = 5 or 6、Y = 7 or 8 or 9を当てはめてみると、X=6, Y=7が確定!
このように、個別のマスの数字はわからなくても、エリア内の合計を使って、あるマスどうしの関係性をあぶりだすことができます。これが、【和の手筋】です。
もっとも、こんなにうまくいくことばかりではありません。和の手筋はきわめて限定的な手筋です。たとえば準備のところで、X=7の可能性を残していたら、進みませんし、それっぽい形をしててもまったく使えない、ということもよくあります。
ともあれ今回はきれいにはまりました。これは和の手筋の中でも、やや発展的な形です。
(11)
あとはそんなに難しいところは残っていないのですが、見落としやすい部分を少々補足。
ヨコ6マス29を【最大最小】で埋めると、まるごと広いエリアが残ります。
ちょっとわかりにくいのですが、ヨコ5マス21に注目すると、タテのからみで1がどこにも置けないため、分解が23457になります。
あとはそんなに難しくないはず。
下段の方は、(10)で入った6,7を起点に、ヨコ6マス25の分解を計算してみるのがいいでしょうか。127+843or654。654の方だと、A,Bに配置できなくなってしまいます。
といったところで、完成です。
8888888~
(総評)
随所に中~上級手筋を散りばめた、程よい手応えのある問題でした。
左上が「わかりにくさ」に寄っている部分はちょっと気になりましたが、進むべき局面ではざっくり進むし、和の手筋などの大物手筋も仕込まれていて、じゅうぶんに面白い問題だと思います。
もし気が向いたら、こちらからダウンロードして、ぜひ自分自身の手で解いてみてください。難しいな、と思ったらこの記事を参考にしてください。きっと新しい発見があると思います。
ちなみに、「世界一難しい」については言い過ぎですね。このパズルには、さらに発展的な手筋があります。世界文化社のサムクロス基準では、☆5か6くらいでしょう(8段階)。
最後に。解説にあたって、なるべく説明が簡潔になるように解いていきましたが、一から解いていく場合には、もっと余計なメモや回り道をすることになります。候補数字もたくさん書きます。
初めて解いたときの紙を、→に載せておきます。