2011年4月30日土曜日

ABCプレース(ブロックあり)

ルール
1.タテヨコの各列および太線で囲まれたブロック内に、指定された範囲のアルファベットが1個ずつ入るようにする。
2.枠外のアルファベットは、その列に入るアルファベットのうち、もっとも近くにあるアルファベットを表す。


ABCプレースにナンプレのブロックを適用したパズルです。通常ABCプレースの表出文字は外周しか影響を与えられないため巨大化に向きませんが、ブロックの制約がこの弱点をうまく補っています。
過去に何回か出題されていますが、そのたびに形式や名前が変わっています。この中でエンドヴューナンプレだけは、ナンプレというカテゴリで出題されているためアルファベットではなく数字を使用しています。

・第13回全日本パズル選手権インターネット予選 20. ナンプレフィールドでABCプレース (Jul. 2004) (*1)
・第15回全日本パズル選手権決勝 2-8. ランダムブロックABCプレース (Aug. 2006)
・第1回全日本ナンプレ選手権 問題17. エンドヴューナンプレ (Feb. 2007) (*2)(*3)
・BOGLAR MAJOR : 8th 24hours Puzzle Championship 15. EASY AS ABC - WITH SECTORS (Nov. 2007)


ちなみに「タテ(ヨコ)の各列に指定された範囲のアルファベットが1個ずつ入る」というルールと「太線で囲まれたブロック内に指定された範囲のアルファベットが1個ずつ入る」というルールは本質的に同じため、ブロックルールはきわめて多くのルールと高い親和性があります。既に多くの定番パズルで試みられていますが、それについてはまたいずれ。



*1. インストラクションでは「ABCプレース?」のタイトルで、ブロックのルールを伏せたサプライズ問題だった。
*2. 西尾徹也杯ナンプレ選手権2009でも6x6で出題
*3. EndViewはABCプレースの英語名のひとつ。ただし、Easy As ABCの方が一般的。

2011年4月24日日曜日

Tight Fit Sudoku/子持ちナンプレ

ルール
1.タテヨコの各列および太線で囲まれたブロック内に、1~9の数字が1個ずつ入るようにする。
2.斜線の入っていないマスには1個、斜線の入っているマスには2個の数字が入る。斜線の下の数字は、斜線の上の数字より必ず大きくなる。
3問ともちゃんと対称配置ですよ

「Tight Fit Sudoku」は、アメリカのパズル作家にしてソルバーであるThomas Snyderが考案したナンバープレースのバリエーションです。2009年に著書「Mutant Sudoku」(*1)で初めて出題されました。

作者のblogによれば、このパズルは2007年のWSC2(チェコ大会)で出題されたパズルをもとに考案したとあります。正確な名前は明かされていないのですが、公式サイトのルール集(pdfファイル)を見る限り、「Slant Numbers」で間違いないと思います。
この時点で斜線や不等式の条件はほぼ完成していたようで、唯一1~12を使用する(このため、すべてのマスに斜線が入っている)ことが「Tight Fit Sudoku」との違いとなっています。
なお、このルールの源流をさらにたどれば「0 to 9ナンプレ」にたどり着くと思われます。

・子持ちナンプレ
「子持ちナンプレ」は2009年のJNPCで出題された(*2)ナンプレで、作者は武井大輔氏。のちに「ハッピーファミリーナンプレ」と改題して、ナンプレファン2009年8月号でも出題されています。
斜線で区切られた部屋の上下ではなく、書き込む数字の大きさによって大小を表すという表現上の違いはありますが、原理的には「Tight Fit Sudoku」とまったく同じルールです。
両者はまったく独立に考案されたパズルで、主にストーリー的な意味合いから考案された経緯が作者のblogで触れられています。




*1 Thomas Snyder & Wei-hwa Huang: "Mutant Sudoku"(Nov.2009)
*2 西尾徹也杯ナンプレ選手権2009 10.子持ちナンプレ(Mar.2009)

2011年4月11日月曜日

たすくえあ+

ルール
1.以下の条件を満たすように、盤面のマスを塗りつぶす。
2.二重枠のマスは黒マスにならない。
3.二重枠の中の数字は、その枠とタテヨコで接する黒マスのかたまりの面積の合計。数字のない二重枠は、必ず一個以上の黒マスと接する。
4.タテヨコにつながる黒マスのかたまりは、必ず正方形になる。
5.黒マス以外のすべてのマスは、タテヨコでひとつながりになる。





ぱずぷれで無理やり解く
例題   


「たすくえあ」は、ニコリ123号に初めて掲載され、126号から後半ページに昇格、130号まで掲載されたパズルです。作者はあるかり工場長氏。
ニコリでは二重枠の大きさは1×1のみでしたが、このアレンジでは連結ネタを適用して分解や黒マス配置のパターンが増えています。129号用に投稿して没になったため、時効到来によりここで公開します。例題と2番3番は今回作り足しました。ニコリ投稿用のリミッターを外して手筋を追求してみましたが...。



・ほかの作者の問題など
たすくえあNo.1~No.4(連続発破保管庫)
手頃な解き味
たすくえあ1~11 ((主に)へやわけ保管庫)
1x1中心の9が面白かった
たすくえあ3 (粗製ペンパ)
数字が一個しか入っていない問題。動き始めると、そんなに難しくない。
たすくえあ (掘っ立て小屋)
18を使った、17x17の問題。なかなかの難問
たすくえあ (twitter/alk48)
原作者による、65の入った17x17の問題
たすくえあ1(with a twist) (パズルが好きなんだぜ)
面積の和ではなく、接する正方形の辺の長さの差を表すアレンジ。うまくいきそうでうまくいかないパターンが多くて面白い。

座談会/ニコリ128号オモパを語る (大岡山パズル同好会)
たすくえあについての座談会

2011年4月10日日曜日

ペンシルパズル本の電子化(2)

少し間が空いてしまいました。前回電子化したデータの画質について書きます。

まず気になるのは印刷したときの画質。
という訳で、インクジェットプリンタを使って白黒で印刷してみました。

画質はすべてスーパーファインです。再スキャンと縮小の過程で若干変わっているものの、だいたい紙上でも同じような雰囲気です。細かいところにアラはありますが、解く上で支障はありません。四角に切れは点線がちょっと濃くなっていますが、許容範囲かな。

一部ではありますが、うまくスキャンできていないページもありました。サムクロスは罫線が薄いため、線が消えてしまうことがあるようです。また、グラデーションになっている場所もダメみたいです。
白黒ではなくグレースケールでスキャンすればうまくいくかもしれないので、次回試してみます。

今度はPDFファイルから切り出した画像です。Acrobat上で300%に拡大したものです。左がファインで、右がスーパーファイン。実用的にはファインでも問題ありません。

違いがわかりやすいので、答えのページも。取り直しの手間などを考えると、最初からスーパーファインにしてしまったほうが確実でよいかもしれません。


最後に表紙のカラー画像を。左がスーパーファインで、右がエクセレントです。画面上でみると、100%ではほとんど違いが気にならず、200%以上に拡大すると細かい部分が気になる、という程度の差です。なお、容量には約4倍の差(表紙・裏表紙の2枚で850KB/3.5MB)があります。

以上です。
おおむねのページで、「解きなおしを気軽にしたい」という要望は満たせているし、本体はスーパーファイン、カラーページはエクセレントにすれば保存用としても十分な画質が得られると思います。自分の場合、今後はまず電子化してから解くことになると思います。

2011年4月4日月曜日

ペンシルパズル本の電子化(1)

昨年オープンしたという、レンタル自炊スペースなる場所で、本の電子化をやってみました。
電子化したのは、もちろんペンシルパズルの本。自分はよくペンシルパズル本を解き直すために手で問題を書き写したり二冊目を買ったりするのですが、解く前に電子化しておけば、必要な分だけ印刷して簡単に解き直すことができます。もちろんそのための環境を揃えるコストがネックになっていたのですが、手頃な価格(10分100円)で自炊環境が借りられると聞いて、試してみることにしました。

目的の店は、秋葉原メッセサンオー横のビルの8階。事前予約推奨です。店に入ると、先客が作業中だったので終わるまで少々待ちました。スペースが空いたら、店の奥に置かれた裁断機、スキャナ、PCの前へ。最初に軽く説明を受けて、あとは自分で作業します。

 まずは裁断機で背表紙を切り落とします。
 切断部分を示す赤い光で場所を合わます。世界文化社のパズルBOOKSは表紙が濃青で光が見えなくなってしまうので、ここでは白い紙を当てています。
 最初は切り離す場所や力加減が分かりにくいと思いますが、1,2回やればわかります。失敗したときのためにハサミを持っていくといいと思いました。


ばらばらになった本をセットし、スキャンします。 前のページが奥になるようにセット。所要時間はスーパーファイン+白黒の組み合わせで5分程度(ノーマル/ファイン/スーパーファイン/エクセレント+白黒/グレー/カラーから画質を選択)。
他の画質も軽く試してみたところ、エクセレントはスーパーファインの半分くらいの読み込み速度。また、ファインとスーパーファインでは読み込み速度はほとんど変わらないものの、変換時の待ち時間が短縮できるようです。
 なお、紙が厚いためか一度にセットしてしまうとうまく給紙できません。ここでは2回に分けています。

本日作成したデータ(計3冊)。本体以外に、表紙とカバーをエクセレント+カラーで作成しています。あといくつか実験用データも。中身だけなら、一冊あたり5、6MBになるようです。
所要時間は40分ほどでした。初めてで手間取った面もあり、慣れれば一冊あたり5分強で可能だと思います。



裁断後の本は持ち帰り、いつものように書き込んで解けます。
背がないので、むしろ解きやすいかも。持ち運びには向きませんが。











長くなったので、作成したデータの画質については次回。実験用につくったデータとも比較してみたいと思います。

2011年4月1日金曜日

Tapa

ルール
1.以下の条件を満たすように、盤面のマスを塗りつぶす。
2.マスの中の数字は、そのマスの周囲の最大8マスを順に見たときに、黒マスが連続している長さを表す。複数の数字がある場合は、それぞれが白マスで分かれていることを表す。
3.数字の入っているマスは、黒マスにならない。
4.黒マスはタテヨコにひとつながりになる。
5.黒マスが2×2のカタマリになってはいけない。



ぱずぷれへのリンク(ぬりかべを流用)
例題   
※9は1111に読み替えてください


トルコのパズル作家SerkanYurekliによって考案された比較的新しいパズルです。既存のパズル(ぬりかべ、ボンバーパズル、お絵かきロジック)を組み合わせたルールでありながら、それらが上手く合わさったことで他にない解き味を持っています。
国際的には2007年の24hPC(*1)で初めて出題され、その後各種のパズルコンテストなどで定番パズルとしての地位を固めつつあります。


・その他の出題
コンテスト以外では、以下のリンクで出題されています。
Tapa(Puzzle Picnic)
Tapa1(パズルが好きなんだぜ)


・Tapaの由来について(2011/05/16追記)
Tapaという名前の由来と初出について、ちゃーみー氏(blog/twitter)がSerkan氏から聞いた話をtwitterで書かれていましたので、本人の許可を得て転載します。

> 最初は T-paint (T = Turkish) という名前で IPST 07-2 に出題 (たしか複数解)."Japanese ~" のように,国名が入ったその国を代表するパズルを作りたかった.しばらくして名前が気に入らなくなり Tapa に改名.
> それには 2 つの意味があり,1 つめ:Turkish Art PAint.2 つめ:tapa という単語はトルコ語で栓の意味 (正確には違うかも?).栓はつながりを断ち切るものなのに,このパズル (の黒マス) はつながりを求める…という皮肉.




*1 SERKAN YUREKLI & GULCE OZKUTUK, 8th 24hours Puzzle Championship  2. Tapa, 2007.