2012年9月28日金曜日

覆面サムクロス

ルール

1.盤面上の全てのマスに、1~9の数字を一つずつ入れる
2.斜線右上はそのマスから右に連続する白マスの数字の合計を、斜線左下はそのマスから下に連続する白マスの数字の合計を表す。
3.タテ列とヨコ列の連続する白マスの中で、同じ数字が重複してはいけない。
4.いくつかの数字は、アルファベットで置き換えられている。アルファベットは0~9のどれかで、同じアルファベットは同じ数字を、違うアルファベットは違う数字を表す。二桁の数字の十の位が0になることはない。

Coded Kakuro (Kakuro Rules are from Puzzlewiki)
Write the digits from 1 to 9 into the fields. The description of a "word" gives the sum of all digits in this "word". In every "word" every digit may occur only once.
Some numbers are replaced by alphabets. Same alphabets mean same number and different alphabets mean different numbers.



覆面サムクロスは、パズラーの投稿コーナー「激作塾」に掲載されたバリエーションサムクロスです(*1)。初出は1990年で、覆面系のバリエーションとしては最も古いパズルと思われます。
さほど頻繁に出題されるパズルではありませんが、WPC(*2)や24hPC(*3)などで時々出題されています。また変わったアレンジとして、覆面を共通要素として覆面DOORS(*4)と連動させたパズルも作られています(*5)。
全表出かつ数字は全て覆面に置き換えるのが基本形ですが、自明な数字を書き込むのも面倒かと思いますので、一部はオープンにしてみました。


Coded Kakuro is a classical Kakuro variation. It first appeared on Puzzler(*6) July 1990 Issue as contributed puzzle from reader. It may be oldest puzzle of coded variant.
It also appeared in WPC(*2) and 24h PC(*3).  There exist combination of Coded Kakuro and Coded Doors(*5).
I think it is tiring to replace trivial alphabets in large puzzles. So some numbers are opened initially.


*1 大屋 徳敬: Puz.7 覆面サムクロス, パズラー, 1990年7月号, p.15, Puz. 7 (1990)
*2 LETTER CROSS SUMS, 15th World Puzzle Championship, part2, Puzzle. 9 (2006)
*3 Aziz Ates: CODED KAKURO, 10th 24hours Puzzle Championship (2009)
*4 ループを作らない(代わりに線で盤面が分断されないようにする)バッグのようなパズル。Para's Puzzle Site内のルール説明参照。
*5 Serkan Yurekli: Door number, 9th 24hours Puzzle Championship, Puzzle. 4 (2008)
*6 Puzzler is a Japanese puzzle magazine published by Sekaibunka corp. There were much of classical and innovative logic puzzles on the magazine. Puzzler magazine has been publishied since 1983 and discontinued at 2000. Now it has been inherited to Nanpure fan, JPC, etc.

2012年9月8日土曜日

Akıl Oyunları

トルコからパズル雑誌が届きました。



トルコのパズル作家、Serkan Yurekliが季刊で発行するペンシルパズル専門誌「Akıl Oyunları」(英語でmind gamesの意味)です。こちらにオンライン版の目次(兼パズルのルール説明)がありますが、ビルディングパズルやバトルシップ、カックロやヤジリンからそのバリエーションまで多彩な数理パズルが出題されています。


実は縁あって、今回の号からこちらにパズルを出題させていただくことになりました。
出題するジャンルは自由。初回は何がよいかなと思ったのですが、JZCでも出題した「美術館の壁」のルールを少し変えて出題することにしました。


掲載ページはこんな感じ(問題は隠してあります)。こちらに英語版のルールがありますが、ざっくり言ってしまうと美術館の答えになるように、指定されたポリオミノを配置するパズルです(回転・反転可)。盤面は分断されてもいいです。ただし、タテヨコナナメにポリオミノが接触したり、ほかの照明に照らされる照明や照らされないマスがあってはいけません。
今回、雑誌掲載サイズということで、ペントミノを全て使った問題を載せていただきました。ちょっと変わった黒マスの発生原理を楽しんでもらえればいいなあと思います。

個人的には次号以降もちょっとマイナーなパズルを作りたいですね。
自作のパズルはさておき、それ以外にも世界各国のパズル作家が毎回いろいろなパズルを出題していて、とても楽しい雑誌です。特に、かつてのパズラーのようなバラエティ数理パズルが好きだった方は、きっと気に入ると思います。どうしても英語(雑誌自体はトルコ語ですが、英語版のルールがオンラインで確認できます)のハードルが問題になってしまうのですが、ぜひ一度、公式ページをチェックしてみてください(参考までに、年間購読は4冊25ユーロ=約2500円です)。

ちなみに発行は2・5・8・11月の上旬なのですが、作者への掲載誌発送は諸事情により一ヶ月遅れで、ここに書くのも一ヶ月遅れになったのでした。

2012年8月22日水曜日

Nurikabe Loop

ルール
1.盤面上のいくつかのマスを黒く塗り、残った全てのマスをタテヨコに通って盤面を一周するループを作る
2.数字のマスは必ず黒マスになる。数字は、そのマスを含みタテヨコにつながった黒マスのかたまりのマス数を表す
3.すべての黒マスのかたまりは、数字のマスをちょうど一つ含む。



Rules (based on akil oyunlari magazine competition)
1.Create some black areas, surrounded with cells which are linked to a continuous loop.
2.The numbers in the grid indicate the size of the corresponding black areas.
3.An area cannot contain more than one number.
4.Black areas may touch each other only diagonally.


カンペンで解く


先日LMIにて開催された、akil oyunlari magazine competitionで出題されたパズルです。考案者はフランスのBastian Vial-Jaime。初出はakil oyunlari 75号(2011)です。
もともとはぬりかべのスタイルに準じて白マスのブロックだったのですが、ルールが書きやすいので黒マスにしました。解く上でもこちらの方がやりやすいのではないかと。

特殊な論理を使う問題です。誰かがやるだろうと思っていたのですが、なかったので自分で作りました。


This puzzles is from akil oyunlari magazine competition. I changed style because of rule description.

2012年6月13日水曜日

カーブデータ

ルール

1.マスの中心をタテヨコにつなぐ線を引き、盤面上にいくつかの図形を作る。どのマスも、必ずどれか一つの図形が通っているようにする
2.すべての図形は、記号のマスをちょうどひとつだけ通る
3.記号は、そのマスを含む図形の線のつながり方を表す。ただし長さの比率は正確ではなく、伸びたり縮んだりする可能性がある


Curve Data
Make some figures by drawing lines so that each figure goes through just one clue. All the cells will be visited by lines. Each clue shows how the lines of the figure upon it turns or connects without any rotation or reflection. (The clues do NOT inply lengths of any part of the line) Different figures do not share same cell.
※English rules are from No Numbers. Thanks xevs!



カーブデータは他に類を見ないユニークなルールを持つパズルで、2002年に山本達也氏によって考案されました(*1)。インターネット激作塾にて殿堂入りするなど当初から高く評価されてはいましたが、作られた問題の数はそれほど多くありませんでした(*2)。
ルールに若干の変遷があり、初期には「ひとつの図形が2x2のブロックを含んではいけない」という条件がありました。現在の形になったのは稲葉直貴氏の発案によるもので、同氏による2011年の第一回全日本図形パズル選手権の出題が初出となります(そのときの問題はここから。問題5-8を参照)。
現時点ではNo Numbersでの出題と、それに対応してインドのPrasanna Seshadriによる練習問題があるのみですが、バラエティに富んだ出題の可能性をもつパズルであり、今後の発展が期待されます。

(6/15追記) Puzzle Graffitiで新作が2問出題されました。2番のコンセプトが新しいです。


Curvedata is the puzzle invented in 2002 by Tatsuya Yamamoto, whom some people may know as WPC competitor.
Originally, there were one more restriction in the puzzle. Every shape cannot occupy 2x2 cells. In 2011, Naoki Inaba proposed to remove its restriction. You can find his puzzle here(see 5-8)(*3). This puzzle uses Chinese character as a shape. So it may seem to be complicated for foreign puzzlers.
Now there are few puzzles in this genre. Ko Okamoto(xevs) made some new puzzles for his own competition. And Prasanna Seshadri from India made for its practice. I expect further development of the genre future.
(6/15 update) There are two puzzles in Puzzle Graffiti.

(*1) 山本達也, インターネット激作塾, カーブデータ, 2002/11.
(*2) 2007年にパズルのおもちゃ箱(現在は閉鎖)にて、山本達也氏本人による4問の新作が発表されています
(*3) These puzzles were made for small offline competition held at Tokyo last year. It is named JZC(Japan Zukei-Geometric- Puzzle Championship). As everything are Japanese in these puzzles, I'm planning to translate them for foreign puzzlers.

2012年5月2日水曜日

ジグソーABCプレース

ルール
1.指定されたすべてのピースを盤面上に配置し、その上で指定された範囲のアルファベットがタテヨコの各列に1個ずつ入るようにアルファベットを書き込む。
2.ピースは点線に沿って配置し、重なったりはみ出したりしてはいけない。また、回転させたり裏返したりしてもいけない。
3.枠外のアルファベットは、その列に入るアルファベットのうち、もっとも近くにあるアルファベットを表す。
4.ピースに書かれているアルファベットを消したり変えたりしてはいけない。

Broken Easy as ABC
Place all given pieces into the grid without overlapping each other. Pieces cannot be rotated or reflected. Then place the letters so that the grid satisfies Easy as ABC rules. In other words, in every rows and columns, there are the letters in the given range exactly once. And letters outside the grid show the nearest letter in that row or column.


ジグソー系バリエーションのABCプレース版です。2006年のJPCインターネット予選(*1)で出題されたルールをもとに、不足しているアルファベットを追加するルールを加えました(原題では、3番のようにすべてのアルファベットがピース上に表出)。よく似たコンセプトのパズルとしてドミノを使用するものがあり、こちらのルールも何度か出題されています(*2)(*3)(*4)。
全般に難しめの問題になってしまったので、ご注意ください。特に3番は、試行錯誤ではないものの...。



This puzzle is broken variant of Easy as ABC. This rule is based on 15th Japan Puzzle Championship Internet Preliminary Test(*1). Originally, all letters are shown on the pieces. Hidden letters are my arrange.
Similar concept puzzles are made on several occasions. These used dominoes as pieces(*2)(*3)(*4).
These puzzles are difficult than usual. Especially #3 though not try and error logic. Be careful!


*1 第15回全日本パズル選手権インターネット予選, 8. ジグソーABCプレース, 2006.
*2 Andrei Bogdanov , IPST 2004-2, 5. Easy as Dominoes, 2004.
*3 Nikola Zivanovic, 8th 24hours Puzzle Championship, 12. EASY AS DOMINO, 2007.
*4 Roland & Ulrich Voigt, 10th 24hours Puzzle Championship, 10. Easy as ABCD with Dominoes, 2009.

2012年4月12日木曜日

クロメンブン

ルール
1.盤面上のいくつかのマスを黒く塗る。数字の入ったマスを黒く塗ってはいけない。
2.太線または黒マスで区切られ、タテヨコにつながる白マスのかたまりを「シマ」と呼ぶ。数字の入っていないシマができてもよいが、一つのシマに二つ以上の数字が入ってはいけない。
3.数字は、そのシマとタテヨコに接する黒マスの数を表す。

Kuromenbun
Paint some cells to black and make "shima". "Shima" means connected white cells which is surrounded by black cells or bold line. Each "shima" cannnot contain two or more number. Number shows the number of black cells touching to "shima" by the edge. Every cell containing number cannot be blackened.




クロメンブンは、ニコリ138号オモパコーナーに掲載されたパズルです。作者は坂本伸幸氏。
太線と黒マスの二種類の分断を使ってなかなか面白い手筋のあるパズルなのですが、いくつかやりすぎた問題ができてしまったのでここで公開します。



Kuromenbun is a puzzle created by Nobuyuki Sakamoto. It first appeared in nikoli #138(2012/3).
"Kuromenbun" has no sense in Japanese. I think its name is combination of KURO(KURO means black) and MEN (banMEN means grid) and BUN(BUNdan means division). "Shima" is the term for crossword, which means white cells divided by black cells.

2012年4月5日木曜日

ヨルムンガンド

ルール
1.盤面内に存在する蛇の場所を明らかにする。蛇の胴体は頭から尾まで盤面をタテヨコにつながり、胴体どうしがタテヨコナナメに接触することはない。蛇の頭と尾は示されている。
2.蛇の胴体は、頭から交互に○のマスと×のマスが繰り返す。頭と尾は○のマスになる。
3.盤面の上と左にある数字はその列に存在する○のマスの数を、下と右にある数字はその列に存在する×のマスの数を表す。
4.波のマスには、蛇の胴体は存在しない。
5.盤面は上下左右がつながったループになっていて、盤面の右端のマスは同じ列の左端のマスに、下端のマスは同じ列の上端のマスにつながっている。

Jormungand (Toroidal striped snake)
Draw a snake in the grid, not touching itself even diagonally. The head and tail of snake are already given. Snake body consists of circled cells and crossed cells. They are alternated. The head and tail are both circled cells. Top and left numbers reveal the number of circled cells, and bottom and right numbers reveal the number of crossed cells. Watermark cells wouldn't become part of snake.
In this puzzle, the grid is toroidal.

ありそうでなかった、トーラス盤面上のスネークパズルです。通常のスネークではなくStriped Snake(*1)がベースになっています。
通常、このような蛇の胴体に周期性を持たせるルールでは、2マス周期ではなく3マス周期にすることが多いです。Dotted Snake(Zoltan Horvathによる解説(*2))やからぁすねいく(*3)がそうで、Striped Snakeと比べても圧倒的に多くの問題が作られています。なぜならば、2マス周期と一般的な正方形の盤面を組み合わせたときに、ある強力な制約が発生してしまうからです。
が、このパズルではあえて2マス周期のルールを採用しています。それがなぜかは、解いてみてください。
なお、盤面端の接触禁を見落としやすいので注意してください。


*1 Andrei Bogdanov , IPST 2004-2, 2. Striped Snake, 2004.
*2 リンク先によると2003年頃にハンガリーのZoltan Horvathが考案し、2005年のWPC14(ハンガリー大会)にも出題されている。
*3 西山ゆかり, インターネット激作塾, からぁすねいく, 2001.